鋼管矢板とは,鋼矢板と同様に,連続する土留め壁を構築する目的で,鋼管に継手を設けた土留め用鋼材である.これまで,鋼管矢板は止水機能を有する壁体として,構造物基礎・土留め壁として広く利用されている.近年では,廃棄物処分の分野でも,その施工性および経済性から,海面処分場における廃棄物埋立護岸としての適用実績が報告されている.しかしながら,鋼管矢板の継手箇所に対して,種々の力学・水理学的課題が指摘されている.特に,継手箇所における低い剛性,施工性,および遮水性の問題は,鋼管矢板を適用する上で解決しなければならない急務の課題である.


連結鋼管矢板工法研究会では,革新的な技術の一つとして,2本の鋼管がH鋼であらかじめ溶接された部材である「連結鋼管矢板」を開発している(図-1).さらに,連結鋼管矢板の開発に係わる技術として,2つのH鋼を用いた「H-H継手」による連結鋼管矢板端部の継手性能の向上を提案するとともに,より安全で信頼性の高い海面処分場技術の構築を目的として,H-H継手で介する連結鋼管矢板を用いた廃棄物埋立護岸の構築を検討している.


これまでの研究で得られた知見は以下のとおりである.


連結鋼管矢板を鋼管矢板構造物として利用することにより,従来型鋼管矢板と比較して鋼材の縮減と工期の短縮が期待できる.


H-H継手を嵌合した連結鋼管矢板の換算透水係数は,膨張性シートの接着により作用水圧0.05 MPa(水位差5 mに相当)において10-8 cm/sオーダーの低透水性を示し,モルタル充填により遮水処理が施された従来型鋼管矢板の換算透水係数と比べ2オーダーの高い遮水性が発揮される.


連結鋼管矢板は,バイブロハンマにダブルヘッド型のアタッチメントを装着することで,N = 25程度の砂質地盤において打設可能である.また,2本の鋼管および中間H鋼を同時に打設できる高剛性の連結鋼管矢板は,鉛直傾斜角が1/300以内で打設可能である.


連結鋼管矢板の最大耐力および残留耐力は,現場継手の有無に係わらずほぼ同等であり,本継手構造は十分な耐力を発揮できる.また,連結鋼管矢板における現場継手部は,連結鋼管矢板一般部と同等の曲げ剛性を有している.



     



     

連結鋼管矢板の開発経緯と開発された連結鋼管矢板